KORG M1Rの不具合(その1)

 左右で音量差が出るという不具合が起きたM1Rを、とりあえず調べる事に。 天板を外して内部を改めて観察する。出力に差があるのは一番右側の二つのジャックである。 基板にはジャックが並んでいて、アナログ出力回路から音量調節用のボリュームを通してこの基板に信号を伝えているのは左端の灰色の配線だ。 配線の近くにトランジスタがある。 2SC2785だ。 念の為に、一寸測定した。 hFEの片方が低いのは気になるが、一応正常みたいだ。基板のトランジスタ周辺の配線を追ってみる。 このパターンを追いかけたら、このトランジスタ二つはアナログ出力回路とは繋がっていない。  そうなると、最終的な音量を調節しているボリュームの手前にあるアナログ回路が怪しいという事になる。 このボリュームが繋がっているのは、フロントパネル裏にある基板である。 ここで使われているのは三菱M5216Lという大出力タイプのオペアンプだ。 このICは入力インピーダンスが最低でも300kΩと高くて出力も大きいが、ここではデジタル回路から来た音声信号をライン・レベルに上げる為に使われている。  この基板より先はデジタル回路になるので、音量の左右差はこのM5216Lが原因と考えられる。  M5216Lは既に生産を終了している。ネットで探すとまだ在庫はあるようだがかなり割高となる。  代替部品となると、LM4880やTDA2822(どちらもUTC製)辺りになりそうだけど、どちらも入力インピーダンスが1…

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止むを得ず撤退:D888のオーバーホール

 2年半ほど前に購入したKORGの8chレコーダー「D888」は、細切れの時間を使って少しずつオーバーホール作業を続けていた。  作業の内容はD32XDやD16XDと同じ。  いつものように、本体裏側を見るとネジが並んでいるので、それを外す。 下の蓋を外すと基板が見えて来る。 電源はスイッチング式なのでコンパクトだ。 ただ、この方式だとコンデンサのESR(等価直列抵抗)を設計時の値と合わせる必要がある為、迂闊にコンデンサ交換は出来ない。  配線を追ってこの部分の回路図を作成し、使われている素子のデータシートを調べて設計値を推測する事は出来るけれど、時間と手間が掛かる。なので、今回もこの部分には一切手を出さない。  前面のつまみ類を全て取り外す。 これで基板が外れる。 スライドボリュームの隣に小型電解コンデンサがある。 この場所に収める為に、わざわざ割高な小型タイプを選んでいる。基板の配線ルーティング上、この場所にしか置けなかったんだろうけれど、それにしても一寸苦しい感じがするなぁ。 ボリュームポット周辺に電解コンデンサが一杯ある。 しかも、パネルに閊えないように倒してあったりする。こりゃー生産する時に大変だっただろうな。  スライドボリューム脇のコンデンサは、案の定液漏れした痕があった。 小型タイプは経年劣化で液漏れが起きる確率がとても高いので、古くなったら問答無用で交換する方が良い。オーディオグレードは汎用品より一回り大きいので、横倒しにして取り付ける。 とりあ…

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MarshallのソリッドステートプリアンプDRP-1

 一寸前の話になるけれど、英マーシャルのプリアンプDRP-1が某所で「動作未確認のジャンク」として格安で売られているのを発見!  訳有ってBOSS TM-7を手放した為、手軽に使えるエレキギター用のヘッドフォンアンプが無い事や、これまた訳有って手放したMarshallのLEAD12(別名「リトルJCM800」)のサウンドが欲しくなる時もあったりして、「こいつなら場所取らないし良いじゃん。」ジャンクだけど「回路に問題があっても自分で直せば良い」と思い入手したのである。  ジャンクと言うだけあって外観はかなりボロい。  ツマミの頭にはガムテープが貼られていたような痕があるし、パネルの部分は文字が消えちゃったりしている。左半分はまだ印刷が残ってるけれど、LED下の「Battery Test」は大半が消えている。ちなみに、完全に消えている右端は本来なら「Line Level」と印刷されている。側面も傷だらけ。 裏を見ると、電池ボックスの蓋が無い。 上側面にある入出力部は、ジャックの樹脂ナットが一つ欠けている。 分解して中を確認する事に。  両側面のネジを外して裏蓋を引き抜き、ツマミとボリュームのナットを外す。 中にある基板は2枚に分かれている。 電解コンデンサは、海外製品でよく見かけるアキシャルタイプだ。赤いLEDが2個並んでいるのは、多分ダイオードクリッパー(歪を作り出す回路)だろう。  内部を一通りチェックしたら、元通りに組み立てる。この時、ジャックからオイルが滲み出て来た。 …

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911オイル交換

 911はオイル交換の時期を迎えたので、ロッソコルサ(伊那市)に出掛けた。 20日5時50分頃に自宅を出発、県道183を進むが、交通量はとても少ない。県道64・県道461・県道49と進むに連れて交通量がほんの少し増える。国道19に入ると交通量が一気に激増するが、走り難い程にはならない。  多治見市内に入ると信号だらけで、あちこちで停められてしまい、時間が掛かる割には距離を稼げない。土岐市を抜けて瑞浪市に進むと交通量がグッと減るが、恵那市から中津川市にかけて交通量がどんどん増える。しかし、絶対的な交通量は少ないから渋滞にはならない。  落合川を渡る頃には交通量はとても少なくなり、快適に進む。順調に進んでる...と思ったら、大桑村を走行中に何故か前を走る3台が急に巡航速度を落とす。「何で急に遅くなったん?」と思ったが、少し進んで納得。ネズミ捕りをやっていたのだ。 # いやぁ、助かりましたよ、ホントに。 近づくと、路肩の草むらに深く腰掛けた警官が居る。その直ぐ近くに測定機器が置いてある。ナルホドぉ。何事も無く問題個所を通り過ぎる。  その後も交通量は変わらず、スムーズ且つ淡々と進む。国道361へと進むと、まだ工事をやっている。 斜面の崩落が大規模だから、まだまだ掛かりそうだな。  坂道で標高がどんどん上がり、トンネル手前の電光表示板は「24度」。トンネルを超えて伊那市に入ると、電光表示板は「27度」になっている。やっぱり今日は暑い。  県道88・県道87・国道153と進ん…

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KORG M1Rが駄々こねた!?

 3年ほど前に手を入れたコルグM1Rは、子供曰く「左右で音量に差が出るようになった」と。 再度分解して調べる事に。  鍵盤部を持たない音源モジュールで、最終的な音量はボリューム一つで調整する構造だ。 「とりあえずここを清掃してみよう。」序でに、もう一つあるボリュームも分解清掃する事にする。 筐体上側の蓋を開け、フロントパネルを取り外すと基板が見える。 ボリュームは小さな基板に取り付けられているので、基板を外してハンダを緩め、ボリュームを取り出す。分解清掃したけれど、大して汚れてはいなかった。元通りハンダ付けし直し、元通り組み立てて作業は完了。作業時間は1時間弱。  早速子供に使って貰ったら「音量差は変わらない」と。  一般的に、音源モジュールはカスタムLSIに内蔵された音源をデジタル回路で選択してDA変換を通して音声信号として取り出し、それをアナログ回路で増幅して出力する構造になっている。  今回、音源の音色には全く問題が無いので、 デジタル回路側は多分問題はない筈。となると、アナログ回路側を調べる事になるのだが、回路図は無いし、古い機種なのでメーカーのサポートも期待できない。ウーム...。

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