オークションで購入したギターは電池を交換したけれど、それ以外は何もしていなかったので、一通り調整してみようと考えた。Fernandes(フェルナンデス)の「TE-85」である。型番から分かるように、当時の定価は8万5千円で、初心者向けよりも少し高い価格帯のモデルだ。
ちなみに、このギターは、以前インピーダンスに関して書いた記事に少しだけ顔を出している。フェンダー・テレキャスターのコピーモデルだが、ピックアップ切替スイッチとボリウムだけでトーンが無く、しかもコントロールプレートは背面にある。
ネックはメイプル、ボディは栓2ピース、ピックアップは FGI TECHNOLOGYというスペックで、重さは3.8kg。鬼栓なら杢目がもっと荒れた感じになるだろうし、もっと重くなるとハズなので、ボディは糠栓と思われる。
杢目の揃い方から、2ピースだがブックマッチではなく、一枚の板を連続してカットしてその前後を突き合わせたらしい。
色はこのシースルーレッド以外にシースルーブルー・シースルーブラック・タバコサンバースト・レッド(塗り潰し)があるらしい。色毎に国内アーティスト・モデルになっているようだ。
まずボディからネックを外す。
手元に届いた時はネックとボディはバラバラの状態だったので、組み立てる時に「念の為に」とカッターナイフで少しだけネジ穴回りを面取りしたが、送られてきた直後は単純に穴が開いているだけだった。
ネックを外す時、ネジ4本を抜いてもボディとネックはしっかりと繋がったままで、少々力を入れないとネックポケットから外れないほどだった。加工精度の高さは「流石、日本製」である。
ネックの接合面に金属製スケールを当てる。
凸凹が無く均一の平面だ。
ネジ穴の面取りは刃物だけでは難しいので、新たに工具を購入した。
この2つで2千円ほどだった。
面取りカッターは電動ドリルで使う前提の製品だけど、チャックに嵌める軸の部分が六角なので、ハンドドリルでも問題無く使える。
5分ほどで全ての面取りが完了した。
ボディ側ネックポケットに塗料が付いているので「こりゃ平面が出てないのかも?」と思いながらスケールを当てたら、ちゃんと平面になっていた。この時代の作り込みはとても丁寧で感心した。
元通り組み立てて、新しい弦を張る。弦はダダリオのミディアムゲージEXL115を使う。
本当はヘビーゲージにしようと考えていたが、自宅近くの店には置いていなかったので、この弦を選んだ。張る前に、袋から取り出して半日ほどぶら下げておく。
巻き取られた状態で梱包されているので、気休めだろうが一応伸ばしておくのだ。
ダダリオのパッケージには各弦のテンション(張力)が記載されている。
こういう細かい配慮が好きで、いつもダダリオを買っている。
新しい弦を張り、オクターブ調整をしたら完成である。手元に届いた時はレギュラーゲージだったので、本来ならナットの溝も調整が必要になるが、既にナット溝が減っていてミディアムゲージにちょうど良い感じになっていたので、手を加えずそのままとした。
このギターを選んだ理由は単純で「トーンは使わないから、付いていないテレキャスタイプを」と探していたから。オークションを眺めていて、使用感の余りない綺麗なこれを見かけ、価格も相応だったので落札した。塗り潰し塗装の方が更に安いけれど、杢目が見えないギターは何となく不安を感じるので避けた。
手持ちの機材で音を出してみると、以前持っていたフェンダー・テレキャス(アッシュボディ)と殆ど変わらないという感じ。重さがほぼ同じだからなのか、アクティブピックアップのお蔭なのかは分からないが、本家フェンダーよりもはるかに安い金額でほぼ同じ音が出て来るのだから、十分満足である。
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