母は随分前に購入したリキッドタイプの蚊取り器をいつも使っている。
フマキラーの「ベープリキッド」という製品で、1994年製造だから20年以上使っていることになる。
消費電力は5W。ナツメ電球とほぼ同じである。
「時々、スイッチを入れてもランプが点かない時がある」と言うのだが「説明書にはランプが点かなくなったりしたら買い替えて下さいと書いてあった」のだそう。「買い替えるなんて勿体無い、どうせ電源ケーブルの断線でしょ」と思い、早速直す事に。
まずは材料を用意する。電源ケーブルは1200Wまで使える太目の物が部品箱にあったのでそれをそのまま使うことにして、ホームセンターで電源プラグ(92円)だけを買ってきた。
材料が揃ったら分解を始める。まず、リキッドの入れ物を取り外す。
裏側から見たら、樹脂の爪で4か所引っ掛けて単純に固定しているだけと分かったので、マイナスドライバーを爪の部分に差し込んで上蓋を外す。
電源スイッチ部分に配線が集中している。
リキッドの容器から飛び出している黒い棒を加熱するヒーター(銀色金属の丸い部分)と電流を制限する抵抗、電源が入っていることを示すLEDがあるだけで、実にシンプルな構造である。
驚いたのはLEDの部分で、抵抗で電圧を落としてあるだけだ。LEDの逆方向耐圧を計算した上での事だろうが、なかなか大胆な設計だと思う。
ちなみに、交流電源でLEDを点ける回路では、抵抗ではなくコンデンサが使われている事が多い。抵抗だと電流が流れれば電力を必ず消費するけれど、コンデンサなら理論上は電力を消費しない。
# 実際には、コンデンサの内部抵抗で若干の電力消費は避けられないけどネ。
コンデンサの容量を調整して電流を制限すれば、LEDを点灯させるのは結構簡単である。
# この時も、勿論逆方向の耐圧には十分な注意が必要デス。
一寸話が逸れたがA(^^;)、肝心な電源ケーブルは圧着接続されている。
色々な理由があって、このようなAC100Vの時にはハンダ付けをしないのが一般的だ。折り曲げられている部分をゆっくり元に戻す。
薄い銅板で電源ケーブルが圧着されている。
千枚通しで慎重にこじ開けて古いケーブルを外した。
もう片方は、真鍮のチューブでやはり圧着されている。
チューブに千枚通しをやや強引に差し込んで押し広げ、線を外した。
これで電源ケーブルが外れた。
見た目は銅の色がややくすんでいる程度で、大して劣化していないように見える。
しかし、テスターで測定したらやや抵抗があった。
20年以上経っているので、この程度の抵抗ならまぁ普通だと思う。しかし、もう片方は導通が無い。断線しているのだ。
プラグに近い部分をあちこち動かしてみたら、導通がある状態になった。
断線したものを無理矢理繋いだような状態なので、抵抗値も高めだ。これで、「電源プラグ近くの配線内部で断線」と確定した。
電源ケーブルの断線予防保護カバーを外して再利用する。
新しい電源ケーブルは一回り太いので、3mmのドリルでカバー内部を少し削っておいたが、それでも新しいケーブルを通せない。よく見ると、新しいケーブルの被覆に配線時に分かりやすいようにする為の突起が付いている。
これが邪魔しているようなので、保護カバーを通す位置までカッターナイフで削り取った。
これでも保護カバーを通せないので、今度は保護カバーを半分の長さに切り詰める。
このカバーはかなり柔らかいので、長さが半分になっても実用上は問題無さそう。これでようやくケーブルを通せた。
ケーブルを蚊取り器内部に通す。
真鍮キャップで片方をしっかりと留める。
もう片方は、銅版の細い爪がグラグラだったので切り落とし、強度の落ちていない部分でケーブルを挟み込んで固定する。
新しいケーブルに電源プラグを取り付ける。
後は元通りに組み立てる。AC100Vに接続し動作を確認して、完成である。
電源ケーブルは今まで1mしかなくて延長ケーブルと合わせて使う時が多かったので、今回はケーブルを2.5mにした。
お手軽な修理だったが、これで新しく蚊取り器を買わずに済んだ。これからもしっかり動いて貰おう。
この記事へのコメント
Take-Zee
何でもかんでも直してしまうとメーカーから
苦情が来ますよ・・ご注意ください。
Rifle
アハハ、そうかも知れませんね。
自己責任で直しているんで、幾らでも言い訳できるでしょう。(笑)
tama
修理できるものは直して使いましょう。モノに心があるなら、モノもきっと喜びますよね。
Rifle
費用節約という目先の目的だけを重視するのではなく、
折角形ある物として生まれてきたのですから、出来るだけ長く使いたいもんです。