随分前に手に入れたIbanez(アイバニーズ)のセミアコAS-200は、子供は時々使っていたみたいだったが、拙者は最近殆ど触っていなかった。
そのせいか弦が錆び始めたので、「こりゃぁマズイ」と弦交換することに。
# このところ、なんだか弦交換ばかりしてるよーな気がする...。
AS-200は通常「Vintage Yellow Sunburst」というイエローサンバーストしかないが、このギターはどこかのショップが別注で作らせたものらしくて、鮮やかなシースルーレッドになっている。ヘッドの形状を除けばGibsonのES-335と良く似ているけれど、出て来るサウンドは全く別物である。
使う弦は、いつものElixir(エリクサー)のNANOWEBだ。
弦を交換しようとているピースを見ると、表面にうっすらと錆が出ている。
このままでも少しの間なら問題は無いが、そのまま放置するとメッキまで剥がれてしまう可能性があるので、NeverDull(ネバーダル:金属磨き)で磨く。強く擦ると金色の塗装が剥げてしまうので、ほどほどに。
表面だけでなくあちこちが錆びているので、取り外して全体を磨くことにする。
テールピースやブリッジを支えるスタッドボルトも同様に磨く。
ブリッジはかなり錆びていたので、磨いたら金色の塗装がかなり落ちてしまった。
見た目は良くないが、普段ジロジロ見る場所ではないから、このままとする。もし、更に錆が広がって金色が剥げてしまったら、その段階で再メッキすることを考えようと思う。
ピックアップカバーもかなり錆びていて懸命に擦ったが、この程度が限界だ。
これも更に酷くなったら再メッキを考える方が良さそう。
弦を外してフィンガーボードを見たら、フレットがかなりくすんでいる。放置するとどんどん錆びてしまうので、液体コンパウンドでフレットを一本ずつ磨く。
右端が磨いた後、それ以外は磨く前で、表面の輝き具合が全く違う。全体を磨くのに結構な時間が掛かってしまった。
フィンガーボードをよく見るとやや汚れているような感じなので、近くのお店に行ってレモンオイルを仕入れて来た。
フリーダム製で、純粋なレモンオイルだけでなく蜜蝋が少し入っていて、ネット上の評判も良い。
レモンオイルに保湿効果は無くてクリーニング効果のみなので、ローズウッド等に使うと別途保湿する必要があるけれど、この製品なら一度に処理できるから簡単で良い。
早速使ってみると、フィンガーボードの汚れが布に黒く付いてきて「こんなに汚れていたのか!」と、一寸びっくり。
フィンガーボード全体を拭き終わったら、布がかなり黒くなった。
購入後は弦交換以外は一度もメンテナンスした事が無いから、結構汚れが溜まっていたんだなー。
フィンガーボードが奇麗になったので、やっと弦交換に移る。メーカのサイトを見たら、出荷時の使用弦は「.010/.013/.017/.026/.036/.046」となっている。「あれぇ?以前は確か.011からのミディアムゲージを張っていた筈なんだけどなぁ。」ソリッドボディではライトゲージがほぼ標準になっているので、それに合わせてゲージを落としたのかも知れない。
今回使うゲージは、他のギターと同じミディアムである。
この日は作業を始めたのが午後だったので、弦を張り終わったら夜になってしまった。なので、翌日に作業を持ち越す。
翌日は、前日の続きから作業を始める。
弦の種類を変えたらテンションも変わるので、ネックの調整をする。メーカのサイトに説明書があったので読んだら、拙者のやり方とほぼ同じだったので、今まで通り進める。
まず6弦1フレットとネック接合部に一番近いフレットを押さえる。メーカの説明書の図に従えば18フレットになるらしいが、拙者はES-335の際に使う16フレットを押さえた。
抑えた範囲で中央となるフレットの頂点と弦の隙間を測る。測るやり方には色々あるけれど、拙者は抑えた状態で弦を押さえたり離したりして、目でその隙間を見ている。
隙間が0.7mmほどとやや大きいので、トラスロッドを回して調整する。
メーカの説明書では「8フレットで0.3mmから0.5mm」と指定されているけれど、拙者は7フレット上で0.2mmを目標にした。0.2mmはちょうど名刺一枚分の厚さで、判り易いのだ。
トラスロッドを回す際には、1/8回転ずつ慎重に回す。いきなり大きな角度で回すとネックを傷めてしまう可能性があるからだ。
ネックを調整したら、次は弦高を調整する。
メーカの説明書では「14フレットの頂点と弦の下端まで6弦側は2.0㎜から2.2㎜、1弦側は1.5㎜から1.7㎜」と指定されているけれど、拙者は12フレット頂点と弦の下面まで6弦側は2.0㎜から2.2㎜、1弦側は1.2㎜から1.5㎜で調整する。今の状態は、6弦側は2㎜だから問題無い。
1弦側は僅かに高い。
ブリッジの弦高調整スクリューを回して少し下げた。
しかしよくよく考ると、弦高が変わればテンションが変わり、それに伴ってネックの調整具合も変わるので、弦高を調整してからネックを調整する方が良いのかも知れない。幸い、今回の調整ではネックの再調整は必要無かった。
次はオクターブ調整だ。各弦で、12フレットの実音とハーモニクスの音程が同じになるようにブリッジの駒を前後させて調整する。
チューニングメーターを使うと正確で良いが、生憎持ってないし、本来は耳で出来るようにするべきなので、敢えて耳だけで調整する。他には、周波数カウンタ機能のあるデジタルテスターを使うという手もある。
弦関係の最後はテールピースの高さ調整だ。
高さに関してはメーカの説明書には何も書かれていない。拙者はボディにベタ付けの状態から少し上げて、弦のテンション間を少しだけ弱めにする。こうすると、サステインが長くなる。
次は電気系のピックアップの調整だ。一旦ピックアップの上面を支えているエスカッションと同じ高さにする。
次に、レベルメータのある機材に接続して、各弦の音量が同じになるようにピックアップのポールピースの高さを調整する。生憎レベルメータのある機材は直ぐに使える状態ではないので、オシロスコープで波形の高さを見ながら調整した。レベルメータのように判り易くは無いのでかなり苦労したけれど、それでもちゃんと合ったかどうかは自信が無い。(滝汗)
# ギター出力を直接レベルメータで見るようなストンプボックスを作ると良いかなー?
大まかに揃えたら、最後にピックアップの高さを調整する。
メーカの説明書には何も書かれていないが、ピックアップのポールピース頂点から弦の下端までの感覚が3mmになるように調整する。現在の状態を確認すると、フロントはかなり高めになっている。
リアもやや高い。
どちらもエスカッションのネジを回して調整する。
今回は3㎜で調整したけれど、ロック等である程度の音圧が必要なら1.6mm、生鳴りを活かしたサウンドにするなら3.5㎜程度に調整するだろう。
一通り調整が終わったが、改めてペグを見ると全体的にやや錆びている。
放置すると厄介な事になりかねないので、NeverDullで金色が剥げない程度に磨いておいた。
これで全ての調整が済んだけれど、丸々2日掛かってしまった。次回はもう一寸手早くできるようにしたいものだ。
この記事へのコメント
みうさぎ
元の状態に弦を張るのもなかなか大変だっただろうなぁ
Rifle
生ピアノも定期的な調律が必要ですから、それに比べれば大した事はないんですが、ギターやベースは弦交換が面倒ですねぇ。
jazzmen
Rifle
6弦側が2mm、1弦側が3mmです。
jazzmen
Rifle
はい、間違いないです。