(前回からの続き)
歩き出すとススキが邪魔で見渡せる場所が殆ど無い。隙間を見つけては三脚を立て、ハッセルブラッドをウエストバッグから取り出して撮影する。
植林の手前の白樺は自然に生えたようだ。
所々に木が生えている。
微かな記憶では、以前ここを歩いた時にはススキなんて全く生えていなくて見渡せたと思ったが、現在は背丈とほぼ同じ高さのススキがびっしり。
以前から湿原の乾燥化は言われていたけれど、まさかこんなに草原化しているとは思いもしなかった。(唖然)
100mほど入った所に看板が立っている。
この看板を立てた時は説明文の通りだったんだろうけれど、現在はどうなんだろうねぇ?
# ちゃんとした調査が必要だと思うんだけどな。
以前よりも水の量はかなり減っているようで、かつては川のようになっていた所は幅が狭くなって水も無い。水面が見えるのは、舗装道から600m以上奥に入ってからだ。
家族はお構いなしに先へと歩いて行ってしまい、見えないどころか声も聞こえない。軽い水筒だけのあちらと違って、拙者は15kgほどの撮影機材を背負ってるし、あちこち止まって撮影しているから直ぐに離れてしまう。
両側からススキがせり出しているので、非常に歩き難い。時折涼しい風が吹き抜けるけれど、陽を遮るものが何もないので暑い。1時間近く経って喉がカラカラ。でも、妻は先に行ってしまったので水筒は手元に無い。
ススキを掻き分けて更に200mほど進むと、ようやく池になったような場所が見えてくる。
ここで中年の夫婦に声を掛けられた。奥様は片手に高価なデジタル一眼レフに高価なズームレンズ、旦那様はスマホのみ...うーん???(笑)我々とは逆コースの森の方から歩いてきたそうで、奥様曰く「森の方から見た時にヤチボウズが見えたので、草原側から撮影して空を入れたかった」と。そこで5分ほど立ち話したが、露出に関しては詳しくないようだった。
# 今時のカメラはシャッター押せば写るしな。
旦那様は拙者のカメラに興味津々のようで「これは何処のカメラですか?」拙者が「スウェーデンのハッセルブラッドです。幅6cmのブローニーフィルムを使う中判カメラですよ」と軽く説明する。話している最中にお二人共バッグからペットボトルを取り出して水をゴクゴク。「うぅぅーっ、俺も飲みたぁーいぃぃぃっ!」と思っても、どうしようもない。(号泣)
お二人と分かれ、池を避けるように大きく回り込むと森の中に入ると川が流れている。木が日差しを遮ってくれるお陰で一寸一息ついた。
2時間ほど経って、何となく顔全体が火照って来た。「日陰なのに、おかしいな?」と思いつつも三脚をセットしてカメラを載せようとするが、何故だか分からないけれど時々ボーっとして手が止まってしまう。
かなり手間取りながら撮影していたら、妻が水筒を持ってやって来た。妻曰く「いつまで経っても来ないから、水筒持って来た。もう一寸行った所でずーっと待ってたけど、ちっとも来ないんだからっ。」
# そんなに恩着せがましく言わんでも...(YoY;)。
「後々の為に少し残す方が良いかなぁ?」と思ったが、残したところでどうせ飲めない可能性が高いだろうから、ここで水筒に入っていたお茶全てを飲み干す。極端に喉が渇いていたからまだかなり足りない感じだったけれど、とりあえず顔の火照りは少しだけ収まった。
# 少しずつ水分を補給していれば、こんな事にはならなかったかも知れん。
ボーっとする事もほぼ無くなり、そのまま撮影を続ける。妻は「先行ってるね」と、さっさと歩いて行ってしまった。
# やっぱりね...(/_;)。
大きな段差を超えて進むと緩い上り坂となり、しばらく進むと今度は緩い下り坂となる。ここからは森の中の道となり、日に当たらずに済むのでとても有難い。
木の枝が遮ってしまうので撮影ポイントは限られてしまうけれど、撮影していて楽しい。
下り坂を降り切った辺りで再び川に遭遇する。
結構な水量だ。
ここでもしつこく撮影する。
ここから少し登り気味の道となる。相変わらず木の枝が景色を遮るけれど、先ほどよりも枝の量が少ないので、撮影ポイントは多い。
日がだいぶ斜めになってきた。
肉眼では気が付かなかったけれど、500mmの望遠レンズで水面近くを見ていたら、鹿が居た。水を飲みに来たらしい。
ここで電話が鳴った。出ると、子供が「先にカルペデイムに着いた。今から風呂に入る」と。まだこっちは撮影中なんだけどなーなんて思いながら時計を見ると、既に16時をだいぶ回っているではないか。(汗)「おっと、こりゃ急がなきゃ」と思いつつも、ついついあちこちで止まって撮影してしまう。
もう少しで舗装路に出る所まで来たら、再び妻が戻って来た。「あんまり遅いもんだから」って。でも、直ぐ道路だからねぇ。(謎)
舗装路に出た時点でちょうど17時、駐車スペースから改めて湿原を見ると、陽の傾きが大きくなっている。
機材の重さを感じながら歩く事3分ほどで、360モデナを停めた場所に戻る。
カメラバッグをトランクに仕舞い込み、着替えの入ったバッグを取り出してカルペデイムに入る。時計を見ると17時15分過ぎ。4時間半ほどかけて踊場湿原を撮り歩いた事になる。道理で足の裏がヒリヒリする訳だ。
喉がカラカラでお水を一杯貰ったらやっとこさ落ち着いた。部屋に荷物を置いて外を見ると、いつもの風景が広がっていた。
部屋を吹き抜ける風が涼しくて気持ち良い。「あぁ、ついに来たんだ...。(嬉)」
(続く)
この記事へのコメント
middrinn
みうさぎ
の件を
笑ってしまいましたん
喉から手が出る程カラカラだったのですね
倒れちゃうよん
貰い水するわけには行かないしねっ
入念に撮影タイムを堪能しましたね
(*^^)v
Rifle
素敵な性格???...うーん、確かに。(^^;)
みうさぎさん
暑い時期に水分はとても重要というのを、今回は嫌と云う程思い知らされました。
4時間以上撮影してもまだ足りない感じでしたが、久し振りに撮影を満喫しました。(^^)/
Take-Zee
やはり、長野県まで行くと涼しいようです。
学生時代、白馬で合宿をしました!
Rifle
長野県は全体的に標高が高いので、太平洋側平地とは気温が違うみたいです。
tama
数がいくらでも撮れるデジタルになったのに、フィルム時代よりもショット数が減ったように思います。
夢中になれるものがあるのはいいことですね。
Rifle
フィルムカメラだと、ついつい夢中で撮っちゃいますけど、デジタルだとそうはならないから不思議。
カメラ台数が多かった頃は余り撮影しませんでしたが、中判3台・35mm2台に絞った現在はやたらと撮影枚数が多くなりました。