中身は昭和の時代に生産されたエレキギター、ヤマハSL-800である。所謂「レスポール国産コピーモデル」である。
ジャンク品として格安で売りに出されていたので入手した。
ジャンクの理由は、金属部の痛みが目出つ・ピックアップがオリジナルでない・全体に艶が無い、というもの。確かに全体的に紙やすりで擦ったみたいで、楽器塗装に特有の艶が無い。
しかし、塗装面までは剥がれていないので、クリア層の表面を荒らしただけになっているみたいだ。
ブリッジやストップテールピースはメッキの下まで錆びていて、状態は良くない。
ピックアップカバーは片方しかない。
ピックアップは二つ共エピフォン・レスポール用で、純正品ではない。
ポットもノブも純正じゃなくて、社外品に交換されている。
本来なら1960年代から70年代の本家ギブソン・レスポールと同じ背の高いゴールド・ハット形状のノブが使われている筈だが、
# ヤマハSGシリーズのノブも同じ。
格安で売られている量産品に交換されている。
ちなみにネット上の情報で確証が得られた範囲では、このモデルが製造されていた(カタログ上に掲載されていた)のは1976年から1979年までで、ヤマハお得意のバイサウンドシステム(よーするにコイルタップね)が搭載されるのは後継機種のSL-800Sから。
アウトプットジャックはネジが何故か二つ無い。
ペグは一応純正品のようだが、メッキの痛みが目立つ。
トラスロッド・カバーにモデル名が刻印されている。
白いピックガードは欠品で、取り付け穴だけが残っている。
ピックアップ切替スイッチの白いノブもスイッチプレートも無い。
ネック裏も艶の無い部分が多い。
ちなみにネック材は本家ギブソンがマホガニーなのに対して、この機種は1ピースのメイプルが使われている。ヘッド裏側にシリアルナンバーと「MADE IN JAPAN」の刻印がある。
この時代のヤマハの番号ルールに則って考えると「1978年8月生産で1585番目」となる。
当時の上位機種なのでセットネック。樹脂製の蓋は二つ共サイズが本体側と微妙に合っていないので、多分自作品だろう。
フレットには所々変な汚れが付着している。
コントロールポケット内部を見ると、配線はまぁまぁ奇麗だがハンダ付けは今一つだし、内側の導電塗料を剥がそうとした(又は塗り損ねた?)痕跡がある。
スイッチポケット内部も同様である。
ボディは、特に角周辺だけ白くなっている。
素人がペーパー掛けすると角だけに力が入り勝ちになるから、このような状態になってしまう事が多い。試しに、液体コンパウンドで軽く磨いてみる。
角以外はまぁまぁ奇麗になるので、ペーパー掛けはそんなに強くはやってないみたいだねぇ。
表側も同様に磨いてみた。
やはりそこそこ奇麗になる。
まとめると、
- 塗装を剥がそうとしてペーパー掛けたが大変そうだから止めたような中途半端な状態
- 保管状態が悪くメッキ部品はほぼ全滅(当時の品質が良くなかったという面もある)
- フレットすり合わせの研磨傷がそのまま残っているし、作業が中途半端
- 電装系が全てエピフォン・レスポール用に交換されている
- 部品の欠品が多い
# だからジャンク扱いで安かったんだけど・・・。
実は、以前からこの機種を探していた。その理由は、ギブソン本家と違って「メイプルネック」であるという点に強く惹かれたのだ。
同様のモデルはグレコ・トーカイ・(自己破産を申請するらしいが)フェルナンデスなどからも出ているけれど、本家コピーの忠実度が高いとかでお値段も信じられない位高い。保管状態の良い美品になると本家ギブソンと変わらない金額で売られている場合もあって、とてもじゃないけど手を出そうという気になれない。
その点、ヤマハのコピーモデルは(近年値が上がって来てはいるけれど)コピー忠実度がやや低いという事が影響しているのか、他社製よりだいぶ安い。それでも当時は高価格帯の上位モデルとして販売されていたのだから、作りはしっかりしている。
入手できたのは良かったけれど、今の状態のまま使うのは一寸抵抗がある。とりあえずは自分でできる範囲でメンテナンスしてみようと思う。
でも、全体を磨くのは大変そうだなぁ・・・。(溜息)
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