子供がオモチャ替わり?に購入した電気自動車COMSを一週間以上毎日乗り続けたので、段々と素性が分かってきた。
毎日乗り続けた理由は簡単で「バッテリーを出来るだけ消費させて、充電してサルフェーション除去装置をしっかり動かす為」である。それだけの為に毎日あちこち走り回っていたのだ。(汗)
まずは車体から。一人乗りの四輪なので、ボディはかなり小さい。
法的な制約上ドアを付ける事が出来ない為か、両側はチャックで開け閉めする構造になっている。
このモデルは「B・COMデリバリー」という名前で、リアにトランクが付いている。
買い物かご二つを入れると一杯になるので、トランクの容量は大した事無い。
因みに、トランクの底板を外すと、一寸した工具なら入れられるスペースがある。
タイヤは軽自動車用の一番小さなサイズが使われている。
一人乗りなので、シートは一つだけだ。このシートには調整機構が無くて、前後しか動かせない。
座ると右側にサイドブレーキがある。
シートに座って見える風景はこんな感じ。
充電は三線式のAC100Vを使う。
一度乗ったら翌日まで充電しっ放しで放置しているので、具体的な充電時間は分からない。(汗)
ハンドルの両側に小物入れがある。左側はペットボトルなどの飲料を立てられるようになっている。
バックミラー近くの透明樹脂部品はオプションだったらしい。
ハンドル左側のレバーがセレクター(車でいうシフトレバー)で、D(ドライブ:前進)・N(ニュートラル)・R(リバース:後退)の3つのポジションしかない。
右側は国産車と同じで、左右のウインカーとワイパーになっている。因みに、リアウィンドウは無いので、フロント側だけだ。
メーターパネルは、充電中は赤いランプが点いた状態になる。
充電が完了すると、色が緑に変わる。
満充電時は、当然の事ながらバッテリーメーターは一杯である。
走って電気が減って来ると、メーターもそれなりに減って来る。
標準のシートは固い上に調整が利かず、乗っていると結構辛い。子供は我慢できなかったようで、中古で拾ってきたスパルコのシートに付け替えた。
大きな違いはシートのリクライニングが出来るだけなのだが、これが結構有効。だいぶ乗り易くなった。
連日30kmほど走らせていたので、車体の挙動が分かってきた。
まず、ハンドルの切れ角は車と変わらないけれど、車体が小さいので自転車並みに小回りが利く。細い路地を曲がる時でも全く困らない。曲がる時には普通の半分ほどで直角に曲がれる。操作した感触も自転車のようにダイレクトだ。
ホイールベース(前輪から後輪までの距離)が短い上に、トレッド幅(左右の車輪間距離)が軽自動車の半分程度しかないので、路面の一寸した凸凹でも激しく前後左右に揺すられてしまう。前後に使われているサスペンションはかなりいい加減なものが使われていらしい。
この手の車両はコスト優先だろうから、こればかりは仕方ないよなー。
ミニカーなので、原付のような二段階右折や30km/h制限は無く、軽自動車と同じで最高速度60km/h。だから、自動車との差はあまり感じない筈。
実際に使ってみて感じたのは「半径5kmの範囲をウロチョロするのに最適だけど、一寸距離が長いと無理!」
なお、今回はバッテリーが中古で状態があまり良くない為、新品バッテリーの時とは大幅に違うという前提で以降を読んで頂きたい。
まず、初期加速はかなり鈍い。具体的には、荷物満載の大型トラックと同じような感じ。
自宅周辺に近年激増中の老人カーも加速がとても鈍いけれど、それと同じようなもんだ。だから、路線バスの後ろについて走るのが丁度良い。
一旦速度が出てしまえば50km/h巡航でも全く問題無いけれど、モーターから出る「キーン!」という音はかなり五月蠅い。この音は消す事が出来ないし、音量もかなり大きいので、人によっては一寸辛く感じるかも知れない。
バッテリーが消耗してくると、走行中に「ピーピーピーピーピーっ!」というケタタマシイ警告音が鳴り続ける。恐らくは誰でも気が付くように設計してあるのだろうけれど、それにしても音量があまりにも大きく、聞き続けると間違いなく難聴になるだろう。これは一寸許せないので、近々何らかの方法で対策を施そうと考えている。
ブレーキは利き方が二段階に分かれる。
数km/h以上の速度で走っている状態でブレーキを踏むと、いきなり「ガツンッ!」という感じで効いて、かなり強めの減速となる。何も知らずにいきなりブレーキを掛けると思いっ切り前のめりになるので、慣れるまでは注意が必要だ。
数km/h以下になると突然ブレーキの利きが極端に悪くなる。なので、知らないと思いっ切り焦ると思う。実際、初めて乗った時に「うわぁ、停まんねー!」と、思いっ切り慌てた。(滝汗)
どうやらこの現象はブレーキ制御のやり方が原因のようで、ある程度の速度に落ちるまではモーター側で制御していて、一定の速度以下になるとモーター制御が無くなってドラムブレーキのみが作動するようになっているらしい。
減速時にガソリン車のエンジンブレーキと同じ積もりでスロットルペダルを離すと、初めは効き方の鈍さに「えぇ?」と感じるかも知れない。効き方はかなり鈍いので、慣れが必要になると思う。
また、エンジンブレーキ(実際には回生ブレーキ)の効き具合を調整しようとしてスロットルペダルを少しだけ踏み込んで減速の割合を緩めようとすると細かく加速減速を繰り返して「ガクガクガクガク」という感じになり、上手くいかない。
これは制御回路にヒステリシス特性を持たせず、リニア(直線状)制御となっている為だ。技術的には普通自動車と同じ感覚になるように出来る筈なのだが、コスト優先で設計したのだろう。
いずれにしても、乗り慣れるまではブレーキの感触に要注意である。
肝心要の走行可能距離については、バッテリーの状態が回復途上なので何とも言えない部分も多いのだが、例えば妻が買い物などで走るのはスーパーマーケットを3つ梯子する程度、距離にして最大で20kmほどなら全く問題は無い。
現在の状態では、走行距離が大体25kmを超えると、スロットルペダルを深く踏み込むと「ピーピーピー!」と激しくなり出す。
ある程度速度が乗っていれば、踏み込む量を減らしても速度が極端に落ちる事は無いので、少しスロットルペダルを戻して走る事が多い。そうすればモーターの「キーン」という音だけで済む。
走行距離が30kmを超えると、停車から発進する時の加速がかなり遅くなる。40km/hで走っていると頻繁に「ピーピーピー!」と鳴るし、一寸した坂でも速度がぐんぐん落ちてしまうので、走るのにはかなり気を遣うようになる。
この状態でスロットルペダルを深く踏むと、突然「ガクンッ」と停まってしまう事もある。
一旦停まってしまうと、メーターパネルの表示は全て消えて、全く動かなくなる。
こうなったら、一旦セレクターをNに入れてキーをオフにし、改めてキーをオンにしてメーターパネルが普通に表示されるのを待つ以外に方法が無い。
この時、キーをオンにすると「ピーピーピー!」となる場合が多い。これはバッテリーの残量がかなり少ないという事を知らせる為らしい。こうなったら速度はどうやっても出ないので、交通量の多い車道を走るのは不可能。全く動かなくなる状態に近づいているので注意が必要だ。
因みに、バッテリーが新品であれば、満充電で最低50km以上は走行できるらしい。
なお、バッテリーはシート下に収められていて、全てディープサイクル・バッテリーである。
制御用に1個、モーター駆動用に6個の合計7個のバッテリーを搭載している。全て鉛バッテリーなので、車重の大半をバッテリーが占めている事になる。
人によってはバッテリーをリチウムポリマー電池に交換して、走行性能を向上させている例もあるようだ。
以上、まとめて一言で言うなら「四輪の原付」と言う感じである。路面状況をダイレクトに伝えて来るし、ハンドルも自転車のような感覚なので、走るオモチャとしてはとても面白い。
実用車両として考えると、走行可能距離の少なさがどうしても鼻に付いてしまうのだけれど、半径5km以内の範囲で短時間走るのならガソリン車よりも軽快である。
円安のお陰でガソリンの価格は上がる一方だから、短距離で良いのなら電気代はガソリン代よりも遥かに抑えられるだろう。でも、なー・・・うーん・・・やっぱり「走るオモチャ」だなぁ。(笑)
この記事へのコメント
ぼんぼちぼちぼち
走るオモチャという感覚、すごく解りやす。
街なかを走ってると、あまりの珍しさに振り向かれたりしやせんか?
歳三君
きっと細かい事を考えずに作ってるのかも知れないですね。
Rifle
日本政府は古い法律を改正せず放置で、不思議な規制が一杯残ってます。
家族が学校の下校時間に走ると小学生達から一杯指さされるそうです。(笑)
歳三君さん
二系統の電流を制御するのがそんなに難しいとは思えないのですが、
トヨタ特有のコスト最優先設計でそうなってるんだと思います。
リニア制御なら安いMPUで済みますからねー。