フェンダーのベースアンプBM-20CEの簡単なメンテナンス

数か月前の話になるのだけれど、以前から購入するかどうかで迷っていた物がジャンク扱いで安く売りに出されていたので、思わず購入してしまった。
Fender Bassman BM-20CE
フェンダー・ジャパンのベースアンプBM-20CEである。気になるお値段は送料込みで4千円と一寸。送料の方が本体価格よりも高くついた。(汗)
# サイズが大きいから仕方ないんだけどさ・・・。

オーバーホール作業をする前に全体を確認しておく。
背面を見ると密閉されている。
背面は密閉型
古い製品な為、取っ手のゴムが劣化で亀裂が入っていて、一部が欠けている。
取っ手は劣化してボロボロ
因みにこの取っ手は交換部品で新品を入手できるのだけれど、現行品はサイズがかなり長くてピッタリとは行かない。
電源ケーブルを見ると、韓国製だ。
電源ケーブルは韓国製
コントロールパネルはボリュームとイコライザー4つだけで、とてもシンプルだ。
シンプルなコントロールパネル
インプットジャックのナットが無くなっていて少しグラつく為、ジャンク扱いになっていた。
ジャックのナットが欠品
このインプットジャックはフェンダーから純正品が今でも補修部品として入手できるので、直ぐに取り寄せた。
背面にある製品シールを見ると「ELK」の文字が入っている事から、設計はELK、製造は韓国のようだ。
背面の製品シール
シリアル番号が「99」で始まっている事から、1999年製造と思われる。
注意書きには「お客様が修理、交換できる部品はありません。」と書かれている。という事は、これから分解して作業する拙者は「お客様」ではないらしい。(滝汗)
# ウーム・・・。

まずは分解に取り掛かる。
背面のパネルを開けると、内部全体を見渡せる。スピーカーは英CELESTIONのLB10-1516が入っている。
ネット上の情報によると、このスピーカーはギター用らしい。
背面パネルを外したところ
内部に吸音材の類は全く入っていない。内部の体積は24リットル強。
低音用としてはかなり小さいサイズで、このままだと中音域が出過ぎると思うんだけど、何も無いのはコストダウンの為だろう。
上面と内部のネジを外すと、基板部を取り出せる。
取り出した基板部
見た感じでは一度もメンテされていないようだ。必要な電解コンデンサ類を発注しておく。

部品が届いたら作業を進める。
フェンダーの純正品はしっかりしたパッケージだ。
フェンダーの純正補修部品
ジャックは基板に直接ハンダ付けされているので、汎用品のジャックを使うのなら自分で配線を調べてから取り付ける事になる。
左側が新品・右側が基板から取り外した物だが、純正品だけあってサイズも形状も全く同じである。
形状は変わらない
ジャックの口の部分が微妙に違う。左側が新品である。
左が新品
外したジャックは、ネジの部分が酷く摩耗している。
ネジ部が摩耗している
前所有者はどういう使い方をしていたのだろうか・・・???
新しいジャックを取り付け、念の為にナットを締めてみる。
新しいジャックを取り付けたところ
新しいジャックの載った基板
うん、大丈夫だ。

電源平滑用の大容量コンデンサは、思った通り液漏れした跡があった。
液漏れした跡がある
交換しなくても回路は動くけれど、液漏れすると容量が減って行ってリップルノイズを抑えられなくなり、「ブーン」という雑音が出るようになる。
なので、拙者の場合古い機材は問答無用で交換しておくのである。

電解コンデンサの数が少ないので、交換作業は簡単だった。
交換を終えた基板
ボリュームも全部取り外して分解清掃したのだけれど、使用頻度は低かったようで内部の汚れは軽微だった。
回路が小規模なので、交換したコンデンサの量は少ない。
交換した電解コンデンサ
後は元通り組み立てて、オーバーホール作業は完了である。

序なので、分解時に基板を撮影して印刷し、
基板のパターン面を印刷したところ
そこへ部品を書き込んで回路図を起こした。
BM-20CE回路図
電力増幅回路にオーディオ用パワーアンプICのTDA2030Aを使ってワンチップで済ませている為、他には入力バッファ回路とイコライザー回路があるだけで、とてもシンプルだ。
イコライザー回路は一般的なTREBLE・MIDDLE・BASSの回路と同じだが、MIDDLEの時定数を変えて低音寄りとし、高音寄りのイコライザー回路を付け足したような感じになっている。
イコライザー回路にPRESENCE(プレゼンス)が付いてないところが、古さを感じさせる。
# 欲しけりゃ、自分で付け足しゃ良いんだけどね。(^^;)

自宅内のレイアウト変更でYAMAHAのF100-115Bを置くスペースが無くなってしまい、断腸の思いで手放した。
以来ベースアンプは全くない状態が続いていたが、時々「スピーカーから出て来るベースの音を聴きたい」と感じる事があり、手軽な物を探していた。
スピーカーが10インチ(20cm)と小さくて低音再生能力は高くはないのだけれど、一応はベースらしい音が出ている。

それからもう一つあって、Fender Bassmanのシリーズをジャズギタリストが使っているのをネット上で良く見かけるので「そんなに良いの?」と気になっていた、というのもある。
ネット上の情報に依ると、ギターアンプと比べてBassmanシリーズは出て来る音がフラットだから好んで使われているらしい。
オーバーホールを終えて間もないので、音はそんなに出していないのだけれど、なんとなく「あぁ、この出音がジャズ系ギタリストに受けてるのか」と感じる部分がある。

まだ修理途中で止まっているRandallのV2XMもあるけれど(汗)、一応音が出せる状態になっているYAMAHAのF50-112もある事だし、近いうちに特性を測定してみようと思う。

この記事へのコメント

  • Take-zee

    おはようございます・・・(^-^)!!
    こんなアンプ使っていましたね~❗
    2025年10月03日 08:28
  • Rifle

    Take-zeeさん
    おぉ、この手のアンプをお使いになった事があるんですね!
    楽器用は形状が特有なので、直ぐ判りますよねー。(^^ )
    2025年10月03日 09:19
  • tama

    > お客様が修理、交換できる部品はありません—とは、これまたずいぶん上から目線の物言いですね。もっとほかに書きようがあるでしょうに。
    たとえば「分解すると感電の恐れがあるので」とか、あくまでうちはお客様の安全を第一に考えてます、みたいに書けばいいのにと思います。
    10インチ1発とはずいぶんコンパクトなベースアンプですね。Rifleさんの演奏を聴いてみたいなぁ。
    2025年10月03日 10:10
  • 溺愛猫的女人

    学芸会の時などこんなアンプを使ってたような気がします。
    2025年10月03日 12:06
  • ma2ma2

    Nice
    2025年10月03日 14:13
  • Rifle

    tamaさん
    楽器を触る人は一般的な注意書きでは通じない人が多いから、このような書き方になっているのかも知れません。(汗)
    えっ、演奏ですか?(^^;)・・・まずは練習しなきゃ。(--;)

    溺愛猫的女人さん
    普段はまず見ない機材ですが、バンド演奏などの時に目にする機会は多いと思います。

    ma2ma2さん
    ご来場有難う御座います。m(_"_)m
    2025年10月03日 20:11
  • てんてん

    (# ̄  ̄)σ・・・Nice‼です♪
    2025年10月03日 21:48
  • いっぷく

    ジャンク品を、自らの手で修理されるなんて、素晴らしい技術と熱意ですね。
    送料の方が本体価格より高いというのも、愛着を感じるエピソードです。
    一つ一つのパーツを確認し、液漏れしたコンデンサの交換やジャックの修理など、細部まで丁寧に作業されている様子が目に浮かびます。
    2025年10月03日 22:13
  • 歳三君

    ゴムの取っ手の劣化は持ち運ぶときに切れちゃいそう
    出来ればピッタリサイズで交換したいですね
    2025年10月04日 11:35
  • Rifle

    てんてんさん
    ご来場有難う御座います。m(_"_)m

    いっぷくさん
    回路がシンプルな分、各素子による影響が大きいんですよ。
    安価なパーツで済ます事も出来ますけど、折角オーバーホールするんだから、それなりのパーツを使って永く使いたくなるんですよ。(^^;)
    2025年10月04日 20:16
  • Rifle

    歳三君さん
    この取っ手には内部に鉄板が入っていて、ゴム部が千切れてもきちんと形状を保てるようになっています。
    ちなみに、このパーツの大きさは約20cmで社外品なら合いそうなパーツもあるんですが、「Fender」の文字が入る純正品だと合うのが無いんですよ。(汗)
    2025年10月04日 20:18