フェンダー・ジャパンのベースアンプBM-20CEである。気になるお値段は送料込みで4千円と一寸。送料の方が本体価格よりも高くついた。(汗)
# サイズが大きいから仕方ないんだけどさ・・・。
オーバーホール作業をする前に全体を確認しておく。
背面を見ると密閉されている。
古い製品な為、取っ手のゴムが劣化で亀裂が入っていて、一部が欠けている。
因みにこの取っ手は交換部品で新品を入手できるのだけれど、現行品はサイズがかなり長くてピッタリとは行かない。
電源ケーブルを見ると、韓国製だ。
コントロールパネルはボリュームとイコライザー4つだけで、とてもシンプルだ。
インプットジャックのナットが無くなっていて少しグラつく為、ジャンク扱いになっていた。
このインプットジャックはフェンダーから純正品が今でも補修部品として入手できるので、直ぐに取り寄せた。
背面にある製品シールを見ると「ELK」の文字が入っている事から、設計はELK、製造は韓国のようだ。
シリアル番号が「99」で始まっている事から、1999年製造と思われる。
注意書きには「お客様が修理、交換できる部品はありません。」と書かれている。という事は、これから分解して作業する拙者は「お客様」ではないらしい。(滝汗)
# ウーム・・・。
まずは分解に取り掛かる。
背面のパネルを開けると、内部全体を見渡せる。スピーカーは英CELESTIONのLB10-1516が入っている。
ネット上の情報によると、このスピーカーはギター用らしい。
内部に吸音材の類は全く入っていない。内部の体積は24リットル強。
低音用としてはかなり小さいサイズで、このままだと中音域が出過ぎると思うんだけど、何も無いのはコストダウンの為だろう。
上面と内部のネジを外すと、基板部を取り出せる。
見た感じでは一度もメンテされていないようだ。必要な電解コンデンサ類を発注しておく。
部品が届いたら作業を進める。
フェンダーの純正品はしっかりしたパッケージだ。
ジャックは基板に直接ハンダ付けされているので、汎用品のジャックを使うのなら自分で配線を調べてから取り付ける事になる。
左側が新品・右側が基板から取り外した物だが、純正品だけあってサイズも形状も全く同じである。
ジャックの口の部分が微妙に違う。左側が新品である。
外したジャックは、ネジの部分が酷く摩耗している。
前所有者はどういう使い方をしていたのだろうか・・・???
新しいジャックを取り付け、念の為にナットを締めてみる。
うん、大丈夫だ。
電源平滑用の大容量コンデンサは、思った通り液漏れした跡があった。
交換しなくても回路は動くけれど、液漏れすると容量が減って行ってリップルノイズを抑えられなくなり、「ブーン」という雑音が出るようになる。
なので、拙者の場合古い機材は問答無用で交換しておくのである。
電解コンデンサの数が少ないので、交換作業は簡単だった。
ボリュームも全部取り外して分解清掃したのだけれど、使用頻度は低かったようで内部の汚れは軽微だった。
回路が小規模なので、交換したコンデンサの量は少ない。
後は元通り組み立てて、オーバーホール作業は完了である。
序なので、分解時に基板を撮影して印刷し、
そこへ部品を書き込んで回路図を起こした。
電力増幅回路にオーディオ用パワーアンプICのTDA2030Aを使ってワンチップで済ませている為、他には入力バッファ回路とイコライザー回路があるだけで、とてもシンプルだ。
イコライザー回路は一般的なTREBLE・MIDDLE・BASSの回路と同じだが、MIDDLEの時定数を変えて低音寄りとし、高音寄りのイコライザー回路を付け足したような感じになっている。
イコライザー回路にPRESENCE(プレゼンス)が付いてないところが、古さを感じさせる。
# 欲しけりゃ、自分で付け足しゃ良いんだけどね。(^^;)
自宅内のレイアウト変更でYAMAHAのF100-115Bを置くスペースが無くなってしまい、断腸の思いで手放した。
以来ベースアンプは全くない状態が続いていたが、時々「スピーカーから出て来るベースの音を聴きたい」と感じる事があり、手軽な物を探していた。
スピーカーが10インチ(20cm)と小さくて低音再生能力は高くはないのだけれど、一応はベースらしい音が出ている。
それからもう一つあって、Fender Bassmanのシリーズをジャズギタリストが使っているのをネット上で良く見かけるので「そんなに良いの?」と気になっていた、というのもある。
ネット上の情報に依ると、ギターアンプと比べてBassmanシリーズは出て来る音がフラットだから好んで使われているらしい。
オーバーホールを終えて間もないので、音はそんなに出していないのだけれど、なんとなく「あぁ、この出音がジャズ系ギタリストに受けてるのか」と感じる部分がある。
まだ修理途中で止まっているRandallのV2XMもあるけれど(汗)、一応音が出せる状態になっているYAMAHAのF50-112もある事だし、近いうちに特性を測定してみようと思う。
この記事へのコメント
Take-zee
こんなアンプ使っていましたね~❗
Rifle
おぉ、この手のアンプをお使いになった事があるんですね!
楽器用は形状が特有なので、直ぐ判りますよねー。(^^ )
tama
たとえば「分解すると感電の恐れがあるので」とか、あくまでうちはお客様の安全を第一に考えてます、みたいに書けばいいのにと思います。
10インチ1発とはずいぶんコンパクトなベースアンプですね。Rifleさんの演奏を聴いてみたいなぁ。
溺愛猫的女人
ma2ma2
Rifle
楽器を触る人は一般的な注意書きでは通じない人が多いから、このような書き方になっているのかも知れません。(汗)
えっ、演奏ですか?(^^;)・・・まずは練習しなきゃ。(--;)
溺愛猫的女人さん
普段はまず見ない機材ですが、バンド演奏などの時に目にする機会は多いと思います。
ma2ma2さん
ご来場有難う御座います。m(_"_)m
てんてん
いっぷく
送料の方が本体価格より高いというのも、愛着を感じるエピソードです。
一つ一つのパーツを確認し、液漏れしたコンデンサの交換やジャックの修理など、細部まで丁寧に作業されている様子が目に浮かびます。
歳三君
出来ればピッタリサイズで交換したいですね
Rifle
ご来場有難う御座います。m(_"_)m
いっぷくさん
回路がシンプルな分、各素子による影響が大きいんですよ。
安価なパーツで済ます事も出来ますけど、折角オーバーホールするんだから、それなりのパーツを使って永く使いたくなるんですよ。(^^;)
Rifle
この取っ手には内部に鉄板が入っていて、ゴム部が千切れてもきちんと形状を保てるようになっています。
ちなみに、このパーツの大きさは約20cmで社外品なら合いそうなパーツもあるんですが、「Fender」の文字が入る純正品だと合うのが無いんですよ。(汗)